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相続財産が分からない!トラブルを避けるエンディングノート

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今、万が一親御さんが亡くなって相続が発生したら、あなたは相続財産を把握できるでしょうか?
亡くなった方の財産を調べるのは、実はかなり大変な作業です。調査に漏れがあれば、遺産相続のトラブルが発生したり、相続税のペナルティが課されたりする恐れも生じます。
このようなリスクを避けるためには、生前にご本人から聞いておくのが最も効果的な手法です。
とはいえ、いきなり「相続財産を教えてほしい」というのはいくら親子でもいささか不躾でしょう。
エンディングノートを活用すれば、ご本人の希望や家族が知っておかなければならない情報を、共有することができるのです。

親が亡くなったけれど、相続財産が分からない!


「親が亡くなったけれど、兄弟が誰も親の財産を把握していない」
このようなケースは決して珍しくありません。
しかし相続財産が分からなければ、相続手続きは全く進展しないのです。

相続財産が分からないのはよくあるトラブルの代表例!

遺産分割で家族がもめる。相続税が高額になる。共同相続人に連絡が付かない。
相続にまつわるトラブルとして耳にする事例は数多くありますが、「相続財産が分からない」というケースはかなりの頻度で発生します。
「預金から不動産、果てはローンに至るまで、こと細かに把握しています!」という方が、むしろ稀といっても過言ではないでしょう。
しかし、相続手続きを行う上で、相続財産を確定することは相続人の義務とされています。
遺産分割、相続税の申告など、その後に行う手続きも、相続財産が確定できなければ進めようがありません。

故人の財産、どうやって調べる?

故人の財産を調べる方法は、家中をくまなく探して預金通帳や郵便物などの手掛かりを集めていくのが基本です。
最近では通帳を発行しない金融機関も増えていますから、パソコンやスマートフォンなども情報収集の手段としては欠かせません。
さらに不動産を所有していれば、登記識別情報通知や権利証などを探すほか、自治体に問い合わせをして固定資産税の課税台帳を調べるなどの方法を用います。
このように故人の財産を調べるには、財産の種類に応じてさまざまな方法を駆使しなければならないのです。
個人で行うのが難しい場合には、行政書士などの専門家に依頼するのも一つの方法といえるでしょう。

トラブル回避の秘訣は「生前に聞いておくこと」


相続財産の調査には、多くの時間と労力が掛かります。
預金・不動産・株式などの有価証券・貴金属などのプラスの財産とともに、借金やローンなどのマイナスの財産も明確にしなければなりません。
しかも財産調査に当てられる猶予は長くはありません。3カ月以内には「相続をするか放棄するか、もしくは限定承認(プラスの財産を限度としてマイナスの財産を引き継ぐ)か」を選択しなければならないからです。
このようなトラブルを回避するためには、ご本人の生前に財産に関する情報をしっかりと聞いておくことが大切なのです。

エンディングノートとは?


人生の最後に備えて、これからの人生や終わり方を考える「終活」という取り組みが注目されています。
この中で、自分自身の希望や亡くなった後に家族が必要とする情報を記しておくのが「エンディングノート」です。
エンディングノートには、明確な定義はありません。
必要な項目以外にも、自由に記述できるものと考えて、気軽に取り組んでみるのが良いでしょう。

人生の終わりに際しての希望や伝えるべきことをまとめるもの

エンディングノートは、人生の終わりを迎えるにあたって、自分自身や家族が必要とする情報をまとめたノートのこと。
「これからの人生をどのように過ごしたいか」という思いのほか、介護や医療などに関する希望、葬儀や相続に関する意思表示などを記すのが一般的です。
これと併せて、ご自身が亡くなった後に家族などに伝えるべきことを記載します。
預金や保険などの情報のほか、ネット上の情報を取得するためのアカウント情報などがこれに該当し、遺族がこれらの情報を得ることによって亡くなった後の手続きの負担を軽減することができるのです。

遺言書とエンディングノートはどう違う?

遺言書は法的な効力を持つ書類で、記載内容や作成方法も厳格に定められています。
一方のエンディングノートには法的拘束力はありません。
亡くなった後のことだけでなく、「自分がどのような形で人生の終末を迎えたいか」という希望や、家族に対する感謝の気持ちなどを自由に記すことができます。

エンディングノートに書いておきたい7つの項目

エンディングノートに記す内容や書式に決まりはありません。
これからの人生と終わりを迎えるに際しての希望、亡くなった後に遺族が必要になる情報を記載しておけば良いでしょう。
いきなり完璧なノートを作成できなくてもかまいません。ゆっくりとでも、項目を一つずつ埋めていきましょう。
時間とともに気持ちが変化することも十分にあり得ますから、定期的に更新することも大切です。

医療や介護に関する希望

「終活」は、誰もが迎える人生の終わりに際して、「本人の意思をできるだけ尊重する」という取り組みです。
エンディングノートを通じて、ご自身の思いを見つめ直すとともに、それをご家族にしっかりと伝えるという効果があります。
まずは「死を迎えるにあたって、どのように最後の時間を生きたいか」を考えてみることからスタートしましょう。
医療や介護に関する希望もその一つ。
「家族に負担を掛けないように施設などを利用してほしい」と考える人もいれば、「自分の住み慣れた家で最後を迎えたい」という人もいるでしょう。
自分自身の希望を整理して、それを家族に伝えるには、エンディングノートが適しているのです。

葬儀やお墓に関する希望

葬儀やお墓に関する希望があれば、それも記してもらいましょう。
「どのような葬儀を上げてほしいか」
「どのような場所に埋葬してほしいか」
葬儀や埋葬に関する希望は、人によってこだわりの程度も大きく異なります。
ご自身が想像しているよりも、もしかしたら親御さんは葬儀やお墓に関して強い希望を抱いているかもしれません。

親しい人の連絡先

親しかった友人やお世話になった方などのリストや連絡先も大切な情報です。
生前に親交が厚かった人であれば、亡くなったことを知らせて欲しいと思うはず。お通夜や葬儀に参列したいとも考える人もいるでしょう。
しかし、こういった親しい方々の連絡先を家族が把握しているとは限りません。
リストを作成しておくことで、親しい人に滞りなく連絡がいく可能性が高まるとともに、家族の負担も軽くすることができます。

家族や友人に対して伝えたい思いや感謝

エンディングノートに記すのは、何も情報だけとは限りません。
遺された家族や友人に対する感謝の気持ち、心に残る思い出などを記しておくのも良いでしょう。
とはいえ、これらの記述は「生前には読まれたくない」と考える人も少なくはありません。
エンディングノートとは別にした方が書きやすいのであれば、そのような形を取るのも一つの方法です。

遺言書の有無や保管場所

エンディングノートのもう一つの役割は、亡くなった後の家族が必要とする大切な情報を伝えることです。
最も重要な項目の一つが、遺言書の有無や保管場所に関することといえるでしょう。
遺言書には公正証書遺言・自筆証書遺言・秘密証書遺言という3種類がありますが、公の機関を通していない自筆証書遺言などは、遺言書自体を見つからない可能性も否めません。
遺言書についてエンディングノートに記しておけば、残された家族が思わぬトラブルに陥るリスクが軽減されます。

財産のリスト

預金や不動産、株式などの有価証券、保険など、財産をすべて確認してリストアップしてみましょう。
財産の再確認は、これから先の資金計画の上でもとても重要です。
もしかしたら、大きな病気に罹って不慮の支出が生じるかもしれません。こういったリスクに備えるためにも、財産を詳細に把握しておくことが必要なのです。
単に財産のリストを作成するといっても、どのようなものを列記すれば良いか分からない可能性もあるでしょう。
リストアップすべき財産の種類を伝えることも大切です。

ローンやサブスクリプションの有無

相続財産は預金や不動産などのプラスの資産だけとは限りません。
借入金やローンなど、マイナスの財産についてもしっかりと把握することが不可欠です。
これらに関しても、先に「リストアップすべき項目」を指定した方が分かりやすいでしょう。
本人の借入だけでなく、連帯保証などについても要注意!
「誰かの借金の保証人になっている」という保証債務も、相続の対象となるマイナスの財産です。
また、定期購入している商品やサービスについても記してもらいましょう。

エンディングノートの勧め方


いざ相続が発生すると、遺族がやらなければならないさまざまな義務が生じます。
中でも相続財産の調査は、多くの時間と労力を要する上に期間が限られた困難な作業の一つといえるでしょう。
このようなトラブルを避けるために有効な手段が、生前に本人から聞いておくこと。中でもエンディングノートが最適といえるのです。

親御さんに対して、いきなり「遺言書を作って!」とお願いするのはハードルが高いかもしれません。
市販のエンディングノートをプレゼントして、「これからの人生の希望を共有したい」という気持ちを伝えてはどうでしょう?
本人の希望を尊重しつつ、家族の負担軽減につながるということを丁寧に説明して、その有効性に共感してもらうことが大切です。

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