相続人向け

負動産にしないための話①:相続ってなにがあるの?知っておくべき財産と不動産相続の基礎知識

naa

相続ってなにがあるの?

相続といっても様々なものがありますよね。まず、わかりやすいのが金融資産。現金もここにあてはまります。ほかには動産といって車や貴金属などの類や、知的財産権なんかも相続の対象ですね。そして不動産。また、先述のようにプラスになるものだけではなく、借金や公租公課などのマイナス財産も相続の対象です。

基本的には、遺言書をベースとして資産が振り分けられることとなりますが、遺言書がない場合などは法定相続人が被相続人の遺産を相続することtなります。相続するといっても、
①相続人の全員で遺産の分け方を話し合い、遺産分割を必要とするもの
②遺産分割をせずに法定相続分に従い分割されるもの
の2つに分けられます。

相続トラブルの多くは遺言書がない場合が多いため、残された家族の仲を取り持つためにも元気なうちに公的な遺言書の作成をしておきましょう。

今回は財産ドック社編著『20の事例でわかる 税理士が知らない不動産オーナーの相続対策』という書籍のご紹介とともに不動産の相続についてのお話をいたします。

不動産のプロだからこその目線でタメになることがたくさん記載されていますのでとても勉強になります。

相続法の改定

さて、いきなり相続法という難しい単語がでてきました。相続法とはつまり、相続にかかわる決まりごとを表す民法です。
民法第5編【相続】で規定されている条文の総称で、民法882条~1050条に収められている「総則」「相続」「遺言」「配偶者の居住の権利」「遺留分」「特別の寄与」などで構成されているものです。 ただし、相続法という独立した法律があるわけではなく、あくまでも民法のなかの決まり事です。

その相続法が2019年に40年ぶりに改正をされたのはご存じでしょうか?恥ずかしながら筆者は全く存じ上げませんでした(汗)

書籍の中でも触れてますが、決まり事が変わる、すなわちこれまでの知識は方法では、ルール違反になったり、損をしたりする可能性があるということです。

さらに今年、2024年4月1日より相続登記が義務化され、相続による不動産取得後3年以内に登記を行わなければ、10万円以下の過料対象となる制度も施行されております。これは、住所変更した場合でも義務化されるため、2年以上未登記の場合は5万円以下の過料が科される。 法改正以前の不動産も義務化されるので早めに対策をしなければなりません。

近年話題になっている空き家問題のひとつは、所有者不明の不動産も多いことに由来しているためその対策として今回の改正が施行されたそう。

このように、今までは大丈夫だったことでも、知らず知らずのうちに懲罰の対象となる可能性があるのです。

知っておいて損をすることはまずないので、難しい話ではありますがぜひ早め早めから準備できたらいいですね。

不動産は公平?

結論から申し上げますと、不動産を公平に分けることは正直かなり難しいといえるでしょう。

不動産は現金化することが難しい資産です。しかもその特性上、一つとして同じものはありません。そのため相続に関してトラブルが生じる場合には、必ずといっていいほど不動産が関わっています。

引用:20の事例でわかる 税理士が知らない不動産オーナーの相続対策

書籍のなかでもこのように記載されており、いわゆる相続トラブルの多くは不動産と紐づくものだと考えられます。それはなぜでしょうか?

もちろん物理的に建物や土地を分けることができないという理由もあります。しかしそれよりも、土地をはじめとした不動産の評価について、様々な尺度が存在していることが大きな要因として挙げられるのです。

引用:20の事例でわかる 税理士が知らない不動産オーナーの相続対策

確かに、土地広さや形、陽当たり、周辺環境など判断材料がいくつもある上にほんの少し移動しただけで価値が変動する、さらには年によっての変動もあるものなのでこれを公平に分けるというのは至難の業です。

このブログをよんでくださっている皆様はきっと、不動産を相続する可能性も高いのではないでしょうか。
不動産相続といっても「土地」「建物」「不動産権利」の3つにわけられるためこれをどう分けるかというのも、万が一遺言書にのこされていなければ大問題です。
相続対象者が複数いる場合は日ごろからどうすべきなのかコミュニケーションをとっておくと万が一の時も安心です。

また、相続したあとどうするのかについてもいろいろな方法があります。そのまま使うのか、売却するのか、はたまた賃貸として何か活用するのか。状態にもよるかとは思いますが亡くなってからのスケジュールは意外とタイトです。また、不動産の相続人が複数いる場合1人でも反対すると売却はできません。そんなこんなをしてるうちに無駄な費用をとられてしまったなんてこともよくある話なので、不動産を将来的にどうするのかという話し合いも並行してできるのが理想です。

不動産売却の落とし穴

不動産を相続して、もう使うこともないしサクッと売って現金にしてしまえば面倒でもなく、お得なのではないかと考える人も少なくありません。しかも、不動産として残しておくよりも管理が簡単かつ様々な形で資産を活用できるためできたら現金化したいとお思いの方もいらっしゃるのではないでしょうか。筆者の義父もそのひとりでした。

ほとんどの不動産オーナーは自分の土地が「いくらで売れるか」についての意識は高いものの、「実際に売れるのか」という点については全く疑いを持っていないと感じます。(略)
価値がついても売れない土地というのはたくさんあるのです。

引用:20の事例でわかる 税理士が知らない不動産オーナーの相続対策

筆者はこれを読んでおもわず「たしかに…」とつぶやいてしまいました。実際に相続した土地が思うように売れずに固定資産税等の無駄な費用を4年もの間払い続けていた友人もいます。

読み進めていく中で大変驚いたのが税理士による評価額の計算ミスがあった事例です。

お父様が亡くなり土地を相続した相談者の方の話です。相続した土地の評価を路線価で評価すると1億5000万円とかなり高額になり、突然とんでもない相続税が発生することになった(略)なんと100万でも売れない土地だったのです。(略)現場に足を運ばなかった税理士が勝手に路線価で計算して申告書を作成してしまったというなんともお粗末な状況でした。(略)なんと最終的に評価額は6万まで下がったのです。

引用:20の事例でわかる 税理士が知らない不動産オーナーの相続対策

…信じられますか?急傾斜の場所で住居を立てるにはかなり高額な費用を支払う必要のある土地だそうですが1億5000万円から6万円に下がるなんてことありえるのかと考えてもわからないのにしばらく考えてしまいました。

路線評価額では1億5000万円、不動産鑑定士が鑑定評価すると2000万円、税法上の事例を適用すると6万円。相続税で使う数字だけ見ても不動産にはこれほど尺度の違いがあるのです。

引用:20の事例でわかる 税理士が知らない不動産オーナーの相続対策

なるほど、という気持ちの中に、やはりそんなことある?という気持ちもありつつも相談する人によってものさしが違い、ものさしによって評価額も大きく変わるということがわかりました。

つまり、何が大切なのかというと使ってないから売る予定の土地が実際に売れるかどうかを把握していないといずれ売却をしようと艦型時にものすごく大変であること、また、土地の評価額を信じて安易に行動してはいけないということです。売れるから大丈夫と思っていたのにずっと手元にあるままでは負動産になってしまいます。可能なうちに土地の評価額を様々な尺度から確認するのはもちろんのこと「実際にうれるのか」という視点で不動産のあらかじめ相談しておくのもひとつの手段かもしれないですね。

どこに頼んだらいいの?

税理士に頼んだらダメ?

いえ、そんなことはありません。先述の事例で税理士に頼むと損と思ってしまった方もいらっしゃるかもしれませんが、そんなことはありません。先ほど事例はあくまでも一例であり、正しく手続きをしてくれる安心安全の税理士はたくさんいますので、ご安心くださいね。
知り合いの税理士に聞いたところ、税理士を含め士業の多くは協力してくれる不動産会社との付き合いがある人も多く、必要であれば不動産のプロにパスしてくれると言っていました。
そのため、基本的には多方面からの議論の末、相続人にとって最適な環境を整えてくれるはずですよ。

相続につよい不動産会社って?

お金のプロである税理士への相談はもちろん有効ですが、不動産についてはその道のプロである不動産会社に相談するのもひとつの手です。

「先を見通す力」「資産を診断する力」「相続をコーディネートする力」これら三つの力を持ち合わせている専門家こそ、不動産が絡む相続対策の専門家と呼ぶのにふさわしいでしょう。

引用:20の事例でわかる 税理士が知らない不動産オーナーの相続対策


書籍のなかで上記のような記載がありました。専門性の強い不動産の相続。編著である財産ドックは時に様々な士業の方とも手を取り合い20年以上にわたり、たくさんの相談を受けてきた実績もありますので、万が一の時の相談先の候補としてご検討されるのもいいですね。

不動産の相続に困ったときにハウスメーカーへの相談をされる方もいらっしゃるでしょう。もちろん知識があり、親身に相談をうけてくださるところもありますが書籍の中ではハウスメーカーへ相談した結果、「相続税対策になります」とアパートを建てさせてトラブルにつながった事例も紹介されています。一概にはいえませんが、会社としての利益を優先するところも中にはあるということを念頭において、複数個所で見積もりや方針を聞いてみるのもおすすめです。

しかし、不動産相続の難しさは自治体によって、沿線によって、とかなり細かい区分で適用できる法律や制度も変わってくるようです。
不動産相続についての業者の選び方については書籍の中でも丁寧にふれてますのでぜひ読んでみてくださいね。

円滑な不動産相続をすすめるために

さて、ここまで書籍とともに少し、不動産を負動産にしないためのお話をしてきました。相続の中でも最もトラブルが多いという理由にうなずけるくらいには、しっかり複雑ですよね。

沢山の情報はありますが、筆者が考える最も大切なことは「日ごろからのコミュニケーション」です。難しいからこそ、1人で抱え込まずに協力して取り組むことが大切だと考えます。話題にしずらい議題ではありますが、親子、きょうだい、親戚間での信頼関係を構築し、スムーズかつ安心して不動産相続についてすすめていくことができたら理想ですね。

今回はこのあたりで結びといたしまして、次回「負動産にしないための話②」に続きます。

今回もありがとうございました。

書籍のご紹介

書籍:20の事例でわかる
  税理士が知らない不動産オーナーの相続対策
編著:財産ドック
   https://www.zaisandoc.jp/

記事URLをコピーしました