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親の不動産相続を前に知っておきたい基礎知識と手続きの流れ

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「不動産相続 まず何をする?」

皆さんは不動産を相続するとき、まず何をしなければいけないかご存知ですか?生きていれば、親の死は必ず直面する出来事ですが、遺産相続をどのようにすれば良いか、特にその中でも不動産相続は、なかなか馴染みがなく、困ってしまう方も多いかと思います。

この記事を読めば、「遺産相続で不動産を相続したけど、まず何をすればよいのかわからない」「親が亡くなったら、親の家はどうすればいいの?」といった悩みを解決できます!

不動産相続は、基本的な知識と流れさえ押さえてしまえば、そう難しいものではありません。なぜなら実際の手続きは、ほとんどの方が司法書士や税理士などのプロに手続きを手伝ってもらいながら進めていくからです。

今回の記事では初めて不動産相続について考え始めた方に向けて、不動産相続の基礎知識や手続きの流れを分かりやすく説明しています。ぜひ参考にしてみてください。

不動産相続の基礎知識その1~不動産って?~

不動産は

  • 土地
  • 建物

のことをいいます。例えば家、マンション、経営しているアパート、畑、借りている土地(借地権)などがあります。「動かせない」ということが一番の特徴です。

不動産の一番の特徴は、登記制度で権利関係が決められています。なぜなら、動かすことができないので、法律で誰が持ち主なのかはっきり決めておかないと、全然関係ない人が突然「ここは俺の土地だ」と言って居座ってしまったら、トラブルになってしまうからです。

なので、不動産は「土地と建物」のことで、「登記で権利が決められている」ということが特徴になります。

不動産相続の基礎知識その2~不動産と他の遺産は何が違うの?~

不動産は貯金や株などの金融資産、車などの動産と、どのように違うのでしょうか。大きな特徴を3つ挙げてみました。

  1. 分けるのが難しい
  2. 相続税がかかりやすい
  3. 相続登記が必要

分けるのが難しい

不動産は金融資産のようなほかの遺産と違い簡単に分割ができない点が大きな違いです。

例えば車のような動産も同じですが、車を半分に分けるというのは物理的に難しいですよね。なので、相続で2等分するときは2分の1ずつ持ち合う、共有財産というかたちになります。

ただし例外もあって、土地を2分割に切り分けて(分筆)それぞれ持ち合う、というやり方もありますが、手続きは現金などと比べると複雑になります。

相続税がかかりやすい

不動産相続は、相続税がかかる可能性が高いです。なぜなら「家は一生で一番大きな買い物」と言われるように、ほかの遺産よりも高額なケースが多いからです。

例えば親が亡くなって、子供2人が相続する場合、基礎控除は4,200万円となりますが、日本全国の新築マンション購入価格平均は4,528万円*ですので、購入から時間が経っていたとしても相続税がかかる可能性が高いです。

つまり、不動産相続の予定がある方は、相続税についてもよく調べておく必要があります。

*独立行政法人住宅金融支援機構「2021年度フラット35利用者調査」より

相続登記が必要

「相続登記」は遺産相続の中で不動産相続にしかない、いちばん重要な手続きですので、次の項目で詳しく説明したいと思います。

不動産相続の基礎知識その3~不動産相続は相続登記が必要!~

不動産とほかの遺産との一番の違いは相続登記が必要なところです。皆さんは「登記」という言葉をご存じですか?あまり馴染みがないという方も多いかと思いますので、基本的な内容をここでは説明したいと思います。

そもそも不動産登記って何?

不動産登記とは、わかりやすくいうと「不動産の名義」を書き換えることです。

この名義は、法務局に設けられた登記簿に記録されています。

なぜなら土地や建物などの不動産は動かせない資産なので、権利関係がはっきりとしていないとトラブルになってしまうからです。

そのため、登記簿に「誰のものなのか」「どんな権利なのか」を記録することで、不動産の権利関係を明確にしています。

なぜ相続登記が必要なの?

不動産相続では、相続登記が避けて通れない手続きとなっています。

例えば相続した後に、後から「お父さんの家は渡さない」とほかの兄弟に言われてしまっても、相続登記がきちんとされていれば、法的な対抗要件になりますので、トラブルや争を未然に防ぐことができます。

また、相続登記をしていないと、不動産を売ったり、譲ったりすることができません。なので、不動産相続は、相続登記の手続きを早めに進めることがポイントとなります。

不動産相続の手続きの流れ

不動産相続の手続きの流れは大きく分けて4つに分かれています。

  1. 不動産の評価額を調べる
  2. 誰が相続するか決める
  3. 相続登記をする
  4. 相続税を納める

順番に説明していきますが、まずは大まかな流れだけ分かればOKです!

不動産の評価額を調べる

最初にやるべきことは、相続する不動産の価格を調べることです。

なぜなら、不動産は貯金などと違って、評価額を算出する必要があるからです。

例えば、土地の評価額は相続税路線価を基準にして算出しますが、特に都心部では、実勢価格よりも路線価の方が低い傾向にあります。相続税を正しく算出するという意味でも、重要ですので必ず評価額を調べましょう。

不動産評価額の計算は複雑ですので、初めて不動産を相続するという方は、税理士や不動産鑑定士に相談するのがオススメです。

誰が相続するか決める

不動産の評価額がわかって、遺産総額がはっきりしてきたら、誰が相続するかを決めます。

例えば、親の遺産総額が5,000万円で、親の実家が3,000万円の評価額、貯金が2,000万円、兄と妹2人で相続するとなったとしましょう。

兄はもともと実家で親と同居していて、妹は結婚しており実家に帰る予定はない、というような場合、兄から今後も生まれ育った実家に住み続けたい、という要望が出ることも少なくないでしょう。

その際に、現金を1,000万円ずつ、実家は共有とするよりも、兄が実家を相続し、妹が貯金を相続、差額を兄が妹に払う(代償分割)とした方が、権利関係がはっきりしていますし、ゆくゆくの二次相続にも備えられます。

このように、不動産相続は、その家に相続人が住んでいるケースも多いため、「誰が相続するのか」を決める必要があります。

相続登記をする

不動産を相続する人が決まったら、相続登記を行います。相続登記の方法は3つあります。

  1. 法定相続
  2. 遺産分割協議
  3. 遺言

法定相続による相続登記

法定相続は、大雑把に言うと、「均等に分けましょう」というやり方です。

なぜなら法定相続による相続登記は、民法で定められた相続順位と割合に基づいて相続登記を行う方法だからです。

例えば、夫婦と子供3人の5人家族で、父が亡くなったとします。この場合に法定相続で登記をすると、妻が持ち分1/2、子供がそれぞれ1/6ずつの持ち分で不動産登記をすることになります。

つまり、法定相続による相続登記は、相続人が複数いる場合、均等な持ち分で不動産を共有することになります。

遺産分割協議による相続登記

遺産分割協議は、法定相続とは違う割合で不動産を相続したときに行う方法です。この場合は別途「遺産分割協議書」を用意します。

遺産分割協議書には相続人全員の署名捺印が必要となります。なぜなら本来もらえる人たちが、本当にその割合で納得しているのか、証明が必要だからです。

例えば先ほどの5人家族で、妻が不動産を単独で相続した場合、子供たちが後から私にも権利がある、と主張してしまうと困りますよね。

つまり、均等でない割り振りの遺産分割協議で相続登記をする場合、相続人全員の同意が必要ということになります。

遺言による相続登記

もし、亡くなった方の遺言書があったときは、遺言書の内容に従って相続登記の手続きを進めます。

ただ、遺言書が一定の要件を満たしていない場合、登記が受け付けられない場合があるので注意が必要です。なぜなら、「本当になくなった方の遺志なのか」があやふやだと、法的な不動産の権利の根拠である、不動産相続登記は認められないからです。

その代わり、きちんとした遺言書であれば、相続登記の際に、遺産分割協議書のような、ほかの相続人の同意を証明する書類は必要ありません。

相続税を納める

最後に、相続税がかかる場合は、相続税の申告と納税が必要です。相続税の申告には相続開始から10か月以内という期限があるため、スケジュールをしっかりと把握して、不動産の相続に対処しましょう。特に、相続した不動産を売却して相続税を払う予定の方は、相続登記が終わらないと売却ができないため、注意が必要です。

この「相続税の申告は相続開始から10か月以内」という期限はとても重要なので、確実に覚えておきましょう。

まとめ

今回の記事では不動産相続の基礎知識と手続きの流れについて説明しました。

不動産は、他の遺産と評価方法が違うこと、それから相続登記が必要なことがポイントです。

また、不動産相続の手続きは大まかに4つあります。特に「相続税の支払いは10か月以内」というスケジュールがポイントです。

これらのポイントがわかれば、「親が急に亡くなってしまったけど、自宅はどうすればいいの?」「不動産相続はまず何をすればいいの?」といった問題にも、冷静に対処することができ、遺産相続への不安も和らぐでしょう!

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