被相続人向け

相続税の負担を軽減するための方法とは?終活と相続税の関係も解説

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将来確実に発生する親の相続、何か対策しておかなくちゃなどと思いながらも、日々の仕事や子育てに追われてついつい先送りしてしまっている30代40代の方、いらっしゃいませんか?

そして、相続って難しそう、相続税って何?負担の軽減ってどんなこと?自分に理解できるのかしら?という疑問はありませんか?

この記事では忙しい30代40代の方の疑問に分かりやすく、相続税の基本を解説するとともに、相続税の負担を減らすための賢い終活の方法をご紹介していきますので、ご安心ください。

1. 相続税の負担軽減ってできるの?

相続税の負担軽減はできます!

なぜなら、スムーズな遺産相続を進めるため、基礎控除をはじめとした様々な負担を軽減する制度が存在しているからです。

まず、最初に相続税の基本から解説していきますね。
・相続税とは
 そもそも相続税とは何でしょうか?
 ⇒ 相続税は、相続や遺贈によって、財産を取得した場合にかかる税金です。
   一番身近なのはやはり親が亡くなった場合に発生する相続に伴うものです
   よね。
 
・遺産に係る基礎控除とは?
 相続税は遺産総額にかかるものではなく基礎控除を差し引いた遺産に対して
 算出するものです。基礎控除とは何でしょう?
 
 ⇒ 遺産に係る基礎控除は次の計算式で求めます。
   遺産に係る基礎控除額=3000万円+600万円×法定相続人の数

   例えば、
   5000万円の財産を持つ父親が、妻と2人の子を残して亡くなった場合、
   基礎控除は3000万円+600万円×3(妻+子2人)=4800万円
   となるため、
   相続税の対象となる課税遺産総額は
   5000万円-4800万円=200万円
   となります。

・その他相続財産から控除できるもの
 親の借入金などの債務、葬式費用なども遺産総額から控除することが
 できます。

2.相続税の負担を減らすために利用できる制度

ここでは代表的なものをご紹介いたしますね。

・小規模宅地等の特例とは?
 親が住んでいた自宅(土地と建物)にかかる相続税を計算するときに、土地
(330㎡まで)の評価額を80%減額できる特例です。この特例を適用
 するためには、原則「同居」が要件となっています。

 ここでいう「同居」とは
 ⇒ 「亡くなるまで同じ家で共に日常生活を送ること」を意味します。
    この「同居」にはいくつか注意点があります。

    ①住民票のみ移していた … ×
     実態として生活を共にしていなければ特例適用はできません。

    ②やむを得ない単身赴任で同居していなかった … 
     もともと同居していて、単身赴任で同居していなかった場合には
     特例適用は可能

    ③親が老人ホームに入居していた … 
     特例適用は認められますが、いくつか条件があります。
     要介護認定を受けていた、自宅を賃貸にしていない、など

    ④介護などのための一時的な同居していた … ×
     生活の拠点が別にあり、親とは一緒に住んでいなかったが、介護など
     のために一時的に同居していた、あるいは週末だけ通っていた場合
     などには特例適用とはなりません。

    ⑤区分登記でない二世帯住宅である … 
     二世帯住宅で特例適用とするためには建物が区分登記(例えば2階
     部分を親名義、1階部分を子の名義として別々に登記していること)
     されていないことが条件になります。

     建物構造による要件は法改正により緩和されており、入り口も居室も
     完全分離型の建物であっても同居と認められます。
  
そして、いずれの場合であっても特例を適用する場合、親の自宅を相続税申告期限まで所有し、居住していなければなりません。また、必要とされる同居の期間については法令上、特に定めはないため、短期間の同居であったとしても特例は適用されますが、リスクが伴うため専門家に確認が必要です。


・生前贈与とは?
 文字通り、親から子へ生前に贈与してもらうことですが、いくつか特例が
 あり、その範囲内での贈与であれば非課税になるため、うまく活用することで
 相続税を軽減することができます。

 ⇒ 贈与税が非課税となる特例
    ①暦年贈与:毎年110万円まで非課税
     1人あたり1月1日から12月31日までの1年間でもらう財産が
     110万円までであれば非課税となるため、毎年110万円ずつ
     子どもに贈与していけば時間はかかりますが、多額の財産を
     非課税で子どもに移転していくことが可能になります。
       
    ②教育資金一括贈与:1500万円まで非課税(2026年3月末
     まで)30歳未満の子や孫へ教育資金を一括して贈与する場合には
     1500万円まで非課税となる制度で、信託銀行など金融機関への
     信託を行うことで利用可能となる制度です。ただし贈与を受けた方
     が30歳になるまでに教育資金として使い切らなければ、残額に
     対して贈与税が課税されるので注意が必要です。

    ③住宅取得資金贈与:1000万円まで非課税(2023年12月
     末まで)18歳以上の子や孫へ住宅購入資金を贈与する場合には
     最大で1000万円までが非課税となります。この特例の適用を
     受けるにあたっては、受贈者の所得要件や購入する住宅の要件など
     を満たす必要があります。

・相続対策としての不動産購入とは?
 不動産を購入することで、相続税の対象となる財産の圧縮を図ることが
 できます。
 例えば、1億円の預金を所有している場合、相続税の課税対象額は1億円
 ですが、不動産に換えておけば、土地は路線価、建物は固定資産税評価額を
 ベースに計算するため、通常、相続税評価額は購入代金より低くなるためです。
 分譲マンションの場合、築年数などの条件で異なりますが、相続税評価額が
 購入代金の半分程度となる場合が多くあります。

 この方が銀行で5000万円を借り入れて分譲マンションを購入した場合、
 財産価値=
  1億円+マンション時価5000万円-借入金5000万円=1億円
 
 ですが、
 マンションの相続税評価額は2500万円程度になるケースが多いため、
 相続税評価額=
  1億円+マンション評価額2500万円-借入金5000万円=7500万円
 
 となり、資産圧縮が可能となるのです。
 借入れを行うか、自己資金にて購入するかについては、将来の返済計画や、
 相続財産をどのように分割するかによって判断をしていくのが良いと思います。

3.相続税の負担を軽減する賢い終活の方法とは?

以上のことから、相続税の負担を軽減するための賢い終活は以下のようなことが
考えられます。

・親の財産を把握しておきましょう。土地・建物の他に金融資産などの有無と
 その総額はいくらくらいになるのか。その上で、相続人の人数を確認して他に
 異母兄弟などいないか、相続に権利をもっている親族がいないかなど親に
 確認しておくと良いでしょう。
  
・その上で相続税の基礎控除を算定して、控除後の課税遺産総額がいくらとなるのか
 把握します。そうすればおおよその相続税額が明らかになります。

・課税遺産総額が多く、財産の大部分が土地・建物である場合
 ⇒ 小規模宅地の特例を適用するために、できることはないか検討してみます。
   単なる親との同居だけではなく、二世帯住宅への実家の建て替えが可能か
   など、さまざまな可能性を検討してみましょう。

・それでもまだまだ課税遺産総額が残っている場合
 ⇒ 生前贈与の特例が使えないか検討してみます。子や孫の中で教育にお金が
   かかる家庭はあるのか、住宅取得予定の家庭はあるのか。暦年贈与の活用
   はできないか検討してみましょう。

 ⇒ 不動産を購入して親の資産圧縮ができないでしょうか。

4.まとめ

この記事では相続税の基本的な事項と、負担を軽減する具体的な制度と賢い終活をわかりやすくご紹介してみました。
相続税とその軽減策を理解する一助になったと思います。

そして、終活と相続税の負担軽減策は併せて考えていくことが大切です。親子間の
コミュニケーションを密にして、本記事で紹介した具体策を参考にしながら、みんなで賢い終活の方法を実践してみてください。
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