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30代40代が知るべき不動産相続のトラブル回避方法とは?

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相続財産に不動産があることで、将来の遺産分割に不安を抱えてはいませんか?
不動産は「現金のように容易に分割ができない」という特性を持つため、相続の際にはその対処法を知っておくことが不可欠です。
不動産の相続では、遺産分割の公平性を保つための方法として換価分割や代償分割など特有の対処法があるからです。
必要な知識を持ってご家族で話し合っておけば、相続が発生したときのトラブルの予防に役立つでしょう。

不動産の相続で発生しがちなトラブル

遺産分割で揉めるのは「大きな資産があるお金持ちだけの話」と考える人もいるかもしれませんが、実際にはごくごく一般的な家庭でも起こり得るもの。
中でもトラブルの要因となりがちなのは、相続財産に占める不動産の割合が高いケースです。
まずは不動産の相続で発生しがちなトラブル事例を見ていきましょう。

相続財産が公平に分割できない

不動産の相続でトラブルが発生しがちな理由の一つとして挙げられるのが、現金のように簡単に分けられないことです。
法律上の話、つまり「所有権」だけを考えれば、確かに相続人同士で共有するという仕組みが存在します。
しかし実際には、複数の家族が一つの家を共同で使うということが実現できるとは考えにくいでしょう。
建物がない土地だけの状態、いわゆる更地であれば物理的に分割することも容易ですが、そうすると極端に価値が下がってしまう恐れも生じます。
このように、分割が困難であることが、不動産相続でトラブルが発生しやすい要因となるのです。

現金が足りずに相続税が払えない

もう一つのリスクとして覚えておかなければならないことは、不動産を相続したとしても相続税は現金で用意しなければならないことです。
相続税は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10カ月以内に納付しなければなりません。
相続財産に占める不動産の割合が高いケースでは、不動産を売却しなければ相続税が払えないといった状況に陥る可能性が低くはありません。
相続が発生してから対策を検討していたのでは、納付期限に間に合わない恐れも生じるのです。

不動産相続のトラブル回避の秘訣とは?


相続財産に不動産が含まれるケースでは、被相続人の生前に家族で話し合う機会を設けておくことが大切です。
遺産分割においては、法律で規定された法定相続分という分割の目安があるものの、不動産の場合は必ずしも目安に従って分割することができるとは限りません。
想定されるトラブルを相続人同士で共有して、納得のいく対策を講じておきましょう。

遺言書で親の意思を示してもらう

相続のトラブルを回避する秘訣の中でも、とりわけ重要なのが遺言書です。
遺言書とは、自分の死後のことがらに関する意思や希望を記した法律上の書類です。
所有する不動産を誰に遺したいのか、もしくは売却して分割するのが望ましいのかなど、財産を遺す相手や遺産分割の方法を明確に示すことができます。
遺言書には法的拘束力があるため、相続人全員が合意した場合などを除けば原則として遺言書に従わなければなりません。このため遺言書があるだけで、無用なトラブルを防ぐことができるのです。

公平さを保つ「換価分割」と「代償分割」

不動産を公平に相続する方法として考えられるものには、「換価分割」と「代償分割」があります。
換価分割は、相続した不動産を売却し、その売却代金を相続人で分配する方法です。
例えば相続人が2人で相続財産に2,000万円相当の不動産があった場合、これを2,000万円の現金という分割可能な財産に代えることで、相続人が平等に1,000万円ずつ分け合うことができます。
一方の代償分割は、特定の相続人が不動産を受け取る代わりに、他の相続人に分割した代金に相当する代償金を支払うことで公平さを保つ方法です。
この場合は2,000万円相当の不動産を相続した人が、もう1人の相続人に1,000万円を支払って平等にします。

不動産が売却可能か否かが選択の鍵

換価分割か代償分割かを選択する際の基準は、不動産を売却することができるか否かがポイントです。
親御さんが亡くなって誰も住む人がいなくなった家であれば、その後の管理に掛かる費用なども考慮しなければならないため、売却したほうが効率的です。つまり、換価分割という選択肢が有力になります。
しかし「亡くなった親と同居していた相続人が引き続き住む」という想定であれば、売却自体があまり現実的ではありません。
この場合は代償分割という方法で公平性を保つのが有効な選択といえるでしょう。

売却するのであれば相続発生後

「どうせ売却するのであれば、早いうちに処分しておいた方がいいのでは?」
一見その方が合理的と考えがちですが、あまりおすすめできる方法ではありません。
相続発生前に不動産を現金化すると、相続税が高くなる恐れが生じるからです。
これは、相続財産の評価の仕組みに起因するもの。現金はその金額そのものが課税価格となるのに対して、不動産は市価の7~8割程度に設定された評価額を基準として課税されるため、現金化することで相続財産の評価額が高くなってしまうのです。
すでに空き家となって管理上の問題が生じている場合などを除けば、不動産のまま相続したほうが相続税対策としても有効といえるでしょう。

親の生前にやっておきたいトラブル予防策

遺産分割でのトラブルを避けるためには、被相続人の生前に相続に関する話し合いの場を持っておくことが不可欠です。
親が亡くなる前にほんの少しのことがらを確認しておくだけで、防げるトラブルも少なくはありません。

所有不動産を確認しよう

まず初めにやっておくべき対策は、親が所有する不動産をすべて把握しておくことです。
親が亡くなってからでもできないわけではないですが、所有していた不動産を確認する作業は実はそれほど簡単ではありません。
自宅以外に、別荘や投資用不動産を所有している可能性もあるでしょう。
より身近なケースでは、「祖父母が亡くなった時に、親の実家の共有持分を相続していた」などがよくある事例です。
このような共有財産は、相続が発生するたびに持分が細分化されて対応が困難になる可能性がありますから、特に注意しましょう。

不要な共有持分はできるだけ処分を

不動産の処分は、原則としては相続発生後が有利と前述しましたが、不動産の共有持分に関してはこの例外と考えても良いでしょう。
親の生前に何らかの対策を講じておくことが望ましいといえます。
「自宅前の私道の共有持分」のように、共有の理由や使途が明確なものは問題ありません。
トラブルの発生要因となりがちなのは、実家を兄弟とともに共有しているケースや事業用の不動産を共有しているケースなどです。
当人が亡くなって共有の背景などが分からなくなれば、解決が困難になる可能性が生じます。
できるだけ生前に処分するなどの対策を講じておくのが良いでしょう。

遺贈や生前贈与を検討する

特定の相続人に確実に不動産を遺す必要があるのであれば、遺贈や生前贈与も選択肢として検討すると良いでしょう。
遺贈とは、「財産の所有者が亡くなったことを原因として引き継ぐ」という法律行為で、主に遺言書に記す方法で行われます。これに対し生前贈与は、文字通り被相続人の生前に財産を贈与しておくことです。
いずれも相続とは異なり、法定相続人以外の人に財産を贈ることもできます。
ただし、いずれの場合にも、法定相続に比べて贈与税や相続税の負担が大きくなる可能性がある点には注意しましょう。

遺言書は公正証書遺言がベター

法律で定められた遺言書には、「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類があります。
遺言を確実に執行してもらうためには、公正証書遺言を作成するのが望ましいでしょう。
公正証書遺言は、公証役場で公証人に作成してもらい、そのまま保管してもらう方式の遺言書です。
本人が自ら作成する「自筆証書遺言」であっても、法律の定めに従って作成してありさえすれば拘束力を持つ遺言書として機能しますが、そもそも遺言書自体を相続人に発見してもらえないかったり、不備があって無効となったりするリスクは捨てきれません。

不動産を売却しない場合の対処法

相続であれ遺贈であれ、特定の人が不動産を譲り受けることで遺産分割に不公平感が生じる可能性はあるでしょう。
不動産を売却して現金を分割する換価分割であれば平等に分けることができますが、相続人の1人が居住しているなどで売却できないケースも珍しくはありません。
このような場合の対策も検討しておきましょう。

代償分割が有効

不動産を売却せずに特定の相続人が不動産を取得するケースでは、共同相続人に対して代償金を支払う代償分割という方法が有効です。
ただし、代償金の支払い原資を確保する方法については、事前に検討しておく必要があることに注意しましょう。
相続する不動産が高額な評価であればあるほど、代償金の金額も大きくなります。
支払い方法などでトラブルが生じないためにも、できるだけ早い段階から相続人同士で話し合うことが大切です。

代償分割の際の注意点

代償金の支払いに関しては、何も現金一括でなければならないわけではありません。共同相続人の合意があれば、分割払いという選択も可能です。
ただし、支払い期日や方法に関してもしっかりと話し合い、遺産分割協議書に明記しておきましょう。
分割払いの合意が得られない場合には、不動産担保ローンを利用することなどで資金調達する方法も考えられます。
融資に伴う諸費用や金利負担などが発生するデメリットはありますが、長期間に及ぶ分割払いよりもトラブルのリスクは抑えることができるでしょう。

不動産の相続対策は親の生前に始めよう

相続財産に不動産が含まれる場合には、相続人同士で遺産分割の方法に関する認識を共有しておくことが一段と重要になります。
「誰が不動産を相続するか」「その代わりに相続する財産は何か」など、親御さんの生前に、相続人となり得る人全員で話し合っておくことが大切です。
親御さんの生前に本人の意思を確認した上で、全員が納得できる方法を考えておきましょう。

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