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親の相続トラブルを回避するには?30-40代が押さえるべき遺言書のポイント

遺言書
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将来発生する相続に、漠然とした不安を抱えていたりはしませんか?
相続でのトラブルを未然に防ぐために効果的な方法は、遺言書を遺してもらうことです。
しかし、遺言の書式や規定などをしっかりと押さえておかなければ、遺言書自体が有効に作用しません。
遺言書の種類や作成方法などを詳しく理解しておきましょう。

なぜ遺言書が有効なのか?

遺言書は、本人が亡くなった後の財産の取り扱いや相続人の指定に関する希望を記すことができる、法的な拘束力を持つ書類です。
法定相続人以外の人に財産を遺贈することもできるほか、遺言書によって隠し子を認知することなども認められています。
原則として法定相続分よりも遺言書に記載された内容が優先されるため、相続人同士での無用なトラブルを避けることができるのです。

遺言書の種類を知っておこう

遺言書は法律に定められた書類ですから、法に則って作成されていなければ効力を持ちません。
一般に遺言書といえば「普通方式遺言」のことを指し、作成方法などによって3種類に分類されています。
それぞれが異なる長所と短所を持っていますから、まずは特徴をしっかりと理解しておきましょう。
このほかには「特別方式遺言」という方法がありますが、こちらは「病気や災害などによって死に瀕しており、普通方式遺言が作成できない特別な状況」で認められる特殊なケースの遺言書です。

遺言書は3種類

遺言書には、「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類があります。
それぞれにメリットとデメリットがあるほか、相続が発生した際の取り扱いも異なることを知っておきましょう。

自筆証書遺言

本人自らが作成し、署名・捺印するのが自筆証書遺言です。
自身で作成できることから最も簡単に取り組むことができますが、不備がある場合には無効となる可能性があることや、遺言の保管場所を相続人に知らせておかなければ発見されないリスクがあることには注意が必要です。
また、偽造の可能性もゼロとは言えないことから、遺言執行の際には裁判所による検認が必要となるなど、作成時の手間が少ない分、執行時の手間が多くなります。

公正証書遺言

公正証書遺言は、公証役場で公証人に対して遺言内容を口述し作成してもらう方式の遺言書です。遺言書自体も公証役場で保管してもらうため改ざんなどのリスクも生じないほか、執行に際して裁判所の検認も必要ありません
ただし、証人を伴って作成するため、内容を秘密にしておくことができません。
また、手間と費用が掛かる上、遺言内容を変更する場合にも同様のコストが発生するのもデメリットです。

秘密証書遺言

秘密証書遺言は、遺言者本人が作成した遺言書に署名・捺印した上で封印し、公証役場で正規の遺言書であることを証明してもらう方式です。
偽造や改ざんなどは防ぐことができるものの、作成自体は遺言者が行うため無効になるリスクは完全には避けられません。
また遺言書は遺言者本人が保管するため、紛失などのリスクも生じます。
遺言書の内容を秘密にしておきたい場合などには有効な方式ですが、後述する自筆証書遺言の保管制度などがスタートしたこともあり、相対的にメリットが少なくなったというのが実情です。

遺言書作成での重要な注意点

遺言書を作成する際には、いくつかの重要な注意点が存在します。
これらのポイントを理解せずに取り組むと、遺言書自体が無効となってしまう恐れが高まることを知っておきましょう。

できるだけ早めに作成しよう

遺言書はできるだけ早めに作成するのがおすすめです。
親が高齢になり認知症を患ってしまった場合などには、その後に遺言を作成しても「本人に意思能力がない」と判断され、無効となってしまう可能性も否めません。
このようなリスクを回避するためにも、早めに作成しておくことが大切です。
遺言書は一度作成したら後から修正することができないといった性質の書類ではありません。
時間とともに家族を取り巻く状況が変わったら、作り直すことができることも覚えておきましょう。

法に則った書式で明確に

相続発生時に遺言書が効力を発揮するためには、民法に定められた書式で作成されていることが不可欠です。
法に則していない場合、せっかくの遺言書が無効とされてしまいます。
民法第968条では、「自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない」と定めています。仮にパソコンで作成したとすると、その遺言書は無効になってしまうのです。(要件を満たせば財産目録についてはパソコンで作成可能)
公証人が作成する公正証書遺言であれば問題ないですが、自筆証書遺言や秘密証書遺言を作成する場合には、弁護士や行政書士などの専門家に相談することをおすすめします。

遺言書があることを知っておく

どの方式の遺言書を作成したとしても、そもそも故人が遺言を遺していることを相続人が知っておくことが非常に大切です。
遺言が発見されずに相続人間で遺産分割協議を進めてしまうトラブルは少なくない事例で、せっかくの故人の意思や希望が相続に反映されないケースや、協議後に遺言書が見つかって遺産分割をやり直すことになるケースも往々にして生じます。
遺言書の存在や保管場所については、生前に聞いておくことなどが大切です。

遺留分の侵害に要注意

遺言書では法定相続分とは異なった遺産分割を指定することも可能ですが、遺留分の侵害には注意が必要です。
遺留分とは、兄弟姉妹以外の法定相続人に認められた、最低限取得することができると保障された遺産割合のことです。
遺留分の割合は、誰が相続人となるかによって異なりますが、原則として法定相続分の2分の1、直系尊属だけが相続人の場合は3分の1と考えれば分かりやすいでしょう。
この割合は保証された権利ですから、法定相続分と異なる遺産分割によって遺留分が受け取れない場合には、遺産を多く受け取った相続人や受遺者に対して侵害額の請求をすることができます。
大きなトラブルに発展するリスクも生じますから、十分に注意しましょう。

おすすめの遺言書作成方法

遺言書は3種類と述べましたが、このうち最も多く利用されている遺言は自筆証書遺言です。
作成のしやすさでは自筆証書遺言、確実性では公正証書遺言がメリットを持つといえるでしょう。
また、令和2年7月に自筆証書遺言の保管制度がスタートしたことで、自筆証書遺言の有効性も格段に高まりました。

確実性なら公正証書遺言

遺言書を確実に機能させるという観点では、公正証書遺言がもっとも確実性の高い方法といえます。
公証人が作成するため法的に無効となるリスクがなく、公証役場で保管されるため紛失や盗難、改ざんなどの恐れもありません。
ただし、公正証書遺言を作成したからといって、遺言者が亡くなった際に公証役場から遺言書の存在に関する連絡などが来るわけではないことを覚えておきましょう。
相続人が公証役場で遺言検索の手続きをすることで、公正証書遺言の存在を確認することができます。

遺言書保管制度の利用も有効

令和2年7月から、自筆証書遺言を法務局で保管してくれる「遺言書保管制度」が開始されました。
遺言書の紛失や、利害関係者による隠匿などを防止できるというメリットに加え、本人が作成した遺言書であることが証明されるため相続開始後の裁判所の検認も不要です。
さらに保管申請時には、法律で定められた形式に遺言書が適合しているかのチェックを受けることができるため、遺言書が無効になるリスクも抑えることができます。
利用には3,900円の手数料が掛かりますが、費用対効果の高い制度といえるでしょう。

相続トラブル回避の秘訣はポイントを押さえた遺言書

相続に際して発生しがちなトラブルはさまざまですが、遺言書が存在するだけで回避できるものも少なくありません。
遺言書の仕組みや特徴を理解すれば、ご自身の家庭に合った遺言書の方法が分かるでしょう。
家族とともに内容を共有して、生前に備えをしておきましょう。

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